なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

"adult liqueur" 作者の考察と解説

 

 

 

 みなさん、お久しぶりです。なぎたそです。こうしてブログで話すのは、久方ぶりになります。今回は、2020.05.11に投稿した"adult liqueur"について、作者の考察として、ある一例として、書こうかと思います。もちろん、正解は無くて。自分に当てはめてもらうと嬉しいです。一文にこんな意味があったんだなと、軽い気持ちで読んでくださいね。

 

 はじめに注意点なんですが、刺激が強い文を平気で書きます。18歳以上の方や、下ネタが大好物な方が対象となります。なぎたそのイメージが崩れる恐れもありますが、そんなことは知りません。知ったこっちゃありません。その旨を了承した方のみ、ご覧下さい。それでは、始めます。長文になるかと思いますが、ゆっくり見てね。よろしくお願いします。

 

 

タイトル

adult liqueur

adult liqueur - なぎたその音楽と戯言

  今回解説する詩の題名"adult liqueur"、タイトルを読まなければ先へは進めません。さて問題です、何と読むでしょうか。みなさんは賢いので英語もペラペラでしょう。「アダルト リキュール」と読みます。ところで話は変わりますが、みなさんはお酒は好きでしょうか。僕は好きなんでが、弱くてすぐに酔ってしまいます。リキュールというお酒の種類がありまして、ソーダ割りや果実系のものが多くて有名です。一番有名なレモンサワーや、簡単に酔ってしまうカルーア・ミルク、女の子に人気カシス・オレンジといった、お酒を代表するカクテルのそのほとんどがリキュールなんです。

 今回の詩では、リキュールを"大人"で割ったということになります。意味不明ですよね、ごめんなさい、馬鹿な者で。ただ、最後までこの詩を読んでもらうと、何となく理解していただけるのかと思います。

 

1番

赤く染まった信号機に 青く染みた半月は

作戦遂行の合図 狼煙を上げた FRIDAY

  時は、夜。浮かれ出す夜中。若者達は外へ出掛け、会社員は自分を労いある行動をする。信号機は赤になり、笑顔の人間が交差点脇に立ち止まる。満月ではない不完全な半月は、青白く不健康な色をしている。ある女性の物語。遊んでいるなんて言わないで欲しいと彼女。今日こそと決めた、この日が金曜日。明日、予定はない。あわよくばと考える。煙草を吸った狼煙を、死んだ目から活きた目に変わった。ちなみに、FRIDAYが大文字なのは週刊誌のFRIDAYと掛けている。

 

午後の終わりに 始まりを告げる

煙草と君の心だけに 灯りを灯して

新しい 仮の宿へと 狩りを続ける

  午後の終わり。それは、20時以降の大人の時間。一日の終わりが大人の始まりの時間。隠れ家で落ち合った君に、「お疲れ様」と声を掛けてお酒のメニュー表を見る。煙草に火を付けるように、君の心にも火を灯したい。場所は隠れ家、地名は東京、新宿。また新しい宿を求めて目の前に居る男性に恋をしている。狩りを続ける新しい仮の宿。新宿と掛けている。

 

騙し合いの関係に 相手を見透かす

エンジェルに 演じる 縁を描くように

女性に粧(よそお)い 世の知(し)れ者

  本音は聞き出せなくて、いつだって心は上の空。大丈夫、まずは縁を描くように、丸く丸く、エンジェルのように、優しい女性を演じて惚れさせる作戦決行。男性を落とす方法なんて簡単ですよと彼女。化粧で顔を作って、この世の全てを知ったような顔をした。何でも話せる関係よりも、その先を望んだ女。

 

サビ

宵に酔い知れた関係の  my sterious

液の配分を 態と間違い

零した建前と 含んだ笑みに

簡単に飲み干した 真っ黒なglass

火照る顔に もう貴方と抜け出すだけ

  今宵は酔いに任せてミステリアスに相手を見つめる。お酒の割る配分をわざと間違って、酔いを重ねる。笑ってごまかして、建前をこぼして相手の反応を見る。ずっと楽しい飲み会は続いている。時間は、23時に針を進めて、飲み空けたグラスには黒い本音が溜まっている。男女が残る行動はひとつだけ、貴方と抜け出して夜の街へ行くだけ。

 

2番

紅く染まった唇に 碧く染みた洋服が

勝負を仕掛けて 裾をたくし上げた Saturday

  時は同じく夜。浮かれ出す2回戦目の土曜日。真っ赤な口紅で唇を仕立て、丈が長い碧いワンピースを手で捲くり上げた。これでもかと女の武器を使い、勝負を仕掛ける。女の願いは、貴方とひとつになること。下着も勿論、勝負を仕掛けている。

 

午前の始まりに 始まりを告げる

君の欲と枕辺だけに 明かりを点して

難解な 波を誘い 何回も続ける

  午前の始まり。それは、0時からの獣の時間。君の欲を最大限に惹かして、部屋を薄暗く枕元の電気だけ点した。明るいのは恥ずかしいと建前をこぼす彼女。あとは想像に任せるだけ。相手の行動を見て行動する。案外、やったことある人は難しいと言う。女は特に波がある、雰囲気も大事。それを何度も続けて、探り続ける。何回も難解な波を誘う。大阪、難波と掛けている。

 

欺し合いの関係に 相手を見透かす

エンジェルに 演じる 縁を描くように

最初を装(よそお)い 世の痴(し)れ者

  騙し合うとは違う、欺し合い。文字通り、欺く。相手には、騙しているようで欺している。知らずとも相手にも知られている。弧を描くように女の身体はよがり、天使のような喘ぎ声で演技をする。処女だから優しくしてね、なんて。痴女であるこの女、世の痴れ者。侮れない。

 

サビ

宵に酔い知れた関係の  my sterious

駅の終電を 技と間違い

溢した本音と 含んだ笑みに

やっと飲みきった 端の淵にgloss

ホテル前に まだ貴方は手を出さない

  酔いに任せて身体を重ねた2人。mysteriousの英語、myとsteriousの間に空白があるのは、2人を意味している。駅の終電を敢えて間違い、逃したのなら泊まるだけの大成功。この技を何度も使っている。飲みきったグラスの淵に、紅いグロスがついた。ただ、貴方からは手を出さない。どうして。貴方だけに必要とされたいだけなのに。

 

Dメロ(Cメロ)

濡羽色(ぬればいろ)に 光った堕天使に

子供に還る時間が やってくる

砂で作った城を なし崩すくらい

整理整頓ができなく 淫れ愉しむ

激しいBPMが 一定のリズムで 鳴り響く

 このDメロ(Cメロ)は言葉遊びが多いので、解説します。

  濡羽色とは、烏のような艶のある黒色のこと。光った堕天使とは、綺麗なその色の髪に光った天使の輪っか。濡れ場と掛けている。エンジェルと言ってきたが、正体は堕天使。

 子供に還る時間とは、正常位の姿のこと。赤ちゃんの姿を模して、大人の対義語としても使用した。天井を見上げ、手と足はカエルのように関節で曲げる。このカエルとも掛けている。

 砂で作った城とは、砂という脆い城。それをなし崩すくらいに淫れる。この一文に有名な体位が3つ入っている。正常位、騎乗位の、同じ読み方であるジョウイ。"城"と、最後の単語"くらい"で表現した。また、なし崩すには、立ちバックである後背位の意味を付けた。

 整理整頓ができなく、そりゃ出来ない。ひっちゃかめっちゃかで、下着があちこちに飛んでいる。個人的に、着衣の状態も好きです。また、生理とも掛けていて、生理整頓ができないとなる。いつ生理来たっけなと、みんなはしっかり確認してね。

 激しいBPMが鳴り響く。クラブで鳴っているEDM。そんなリズムで打ち付ける身体と身体。パンパンと鳴り響く、その部屋はこだまする。同じリズムの方がいいらしいよ。下手に早くするもんじゃないかもね、知らんけど。

 

ラスト

私が大好きなお酒 adult liqueur

大人を薄めたこの味は 病み付きになり

地獄の底に咲いた アザレア

堕ちるところまで 堕ちて逝くだけ

  酒に日に日に溺れる女。大好きなお酒とはアダルト リキュールその名。大人になりたくない人間にとって、薄めた大人の味はアルコールが必然的に高くなる。病み付きになり、病みも加速していく。アザレアの花言葉は、「禁酒」。アザレアはラテン語で乾燥を意味する言葉が語源といわれている。英語で禁酒のことをドライといい、乾燥ということにちなんでいる。その花が地獄に咲いている。堕ちるところまで堕ちた。女は今日も死んだ目をして過ごしている。活きた目になる、また次の金曜日が来るまでを繰り返す。

 

詩の記事の概要

 はてなブログには、記事の概要というものがあります。スマートフォンで、僕のツイッターの紹介文のURLをクリックすると、タイトルの下に一文書けるシステムがあります。今回の詩"adult liqueur"では、「つまみにするめ、独毒々」と書きました。お酒のアテ、つまみの相場はイカのスルメですよね。もちろん、イカ臭いという卑猥な用語と掛かっているのですが、それだけではないです。イカは明るいところへ寄ります、イカ釣りの漁船は、ガラスが丸いライトを沢山ぶら下げています。真夜中に明るい場所を好む、この女のような若者たち。沢山の丸いライトは、異性たち。そして、「め」を「女」と変換すると、「つまみにする女」と書くこともできます。つまみを常に探している話でした。「独毒々」は、孤独感と、毒々しい日常を表しました。また、「ドクドクドク」という、心臓音と性交に成功した証の音を表しました。言わせないでください、恥ずかしい。

 

 

 いかがでしたでしょうか。1番と2番を見比べると韻を踏んでいたり、同音異義語や、漢字を敢えて違うものにしていたりとしています。しっかりと、この場合だとどの漢字が当てはまるのだろうと調べて書いていました。例えば、「こぼす」。この詩の場合では、お酒を零す、本音や笑み、涙を溢すという表現で使いました。また、「わざと」。意図的に、故意的に態と間違う、終電を間違うという技を技として間違う。そんな表現で使いました。新宿や、難波を文字ってみたり、個人的には、Dメロ(Cメロ)が大好きです。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。読むの疲れたでしょう。一度目を閉じて深呼吸してみて、あと、たまには遠くを見てね。この詩、"adult liqueur"の感想とか貰えると嬉しいです。このような経験をしている人、していた人、夢見た人、色んな人が居るかと思います。僕は、昔このような世界にいました。懐かしいなと思い書きました。

 触発された音楽である、SHE'SのMasquerade。最後にこのMVを置いておきます。世界観はこれに近しいものです、より分かりやすいかと思います。赤い信号機が写り、交差点。煙草の狼煙があがって酒を酌み交わす若者たち。あれ?女の子のこの洋服。この色のワンピースは?確認してね。

 

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 ちなみに、投稿した日にも意味がありました。5月11日の誕生花は、林檎。林檎の実の花言葉は、『誘惑』『後悔』。蛇にそそのかされたイヴとアダムが禁断の果実を食べ、エデンの園を追放されたという「創世記」に由来しているそうです。近い日付の誕生花を調べて、意味が合う日を投稿日にしました。まさか、ここまでは気付く人は居なかったかと思います。個人的に楽しんでいました。ある女の話、誘惑して、後悔するお話。林檎のような、"禁断の"果実。 でもね、意外に熟れると甘くて美味しいよと僕。次第に、熟れた果実は優しい大人の女性になるのでした。

なぎたそ