なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

Brightness -明度-

 

 

 

「今日くらいは、語ってもいいかな。」

 

沈んだ泥を掻き分け生活していた私は、

焦げ付いた汚れを落とすことすら諦めた。

カレーのあと、初めからグレーだったのか。

覚えちゃいない、次は黒のフライパンだな。

味がない、スパイスがない惰性を食べていた。

 

変わろうか。もう後には残さないと決めた。

靴を買って、足跡を水で洗って消し去った。

ズレて擦れて、涙を流さないと見上げていた。

今の私なら、振り返ってもらえるかなあ。

あの頃に、出来ていたらな。なんて、嘘。

 

四季、そう。移ろう。

モノクロの世界に色が付いた。

補って優しく、塗布する。

じきに、そう。冬は春へと変化した。

ゆっくりと明度を高くした。Brightness

 

窓際に置いた土とこの花を深く愛した。

スクスクと育ち、スヤスヤと眠り、

愛をあげると、答えるようにお辞儀した。

君は、ここに居ていいんだよ。

花は、夜に咲いた。満開に。

 

満開だ、夜桜の花弁が紫色に光る。

これからの未来を照らしていた。

踏切の音が止まった。歩き出した君に

挨拶を交わして、手を繋いだ。

途端に、風が吹いた。

 

四季、そう。移ろう。

モノクロの世界に色が付いた。

補って優しく、塗布する。

じきに、そう。春は夏へと変化した。

ゆっくりと明度を高くした。Brightness

 

私の特技は、光を放つことだったな。

なんて履歴書には書けないな。

誰かを照らすだけで、自分は光らない。

私が太陽なら月が君だったと、今に思うよ。

 

明瞭で正しさの塊だった。君の考えに、

悔いはないよ。出る杭もなかったよ。

 

 あの夜のはなしから、ここまでを、

 長い演奏にすると符は幾つだろう。

 一休みしながら、時には強くて

 時々、弱くなる君の音色は綺麗だよ。

 いつまでも、愛を奏でようか。

 

今は懐かしいよ、君が。

明るさに目が眩んで、黒になりすぎた。

カラフルも似合うかな、どうかな?

相互作用で、変化をもたらした。

 

式、そう。もう、はじまる。

恋して愛すれば、0になる。

二人重なれば白になる。

君との幸を、唯々祈る。

 

「あの頃は、ごめんな。」

 

そして、誓おう。

幸せになると。