空を見上げなくなった日々に、
あの海は教えてくれた。
月も太陽も、対極の位置にいて、
同じ光を放って、照らし合う瞬間。
サランヘ。生きていてよ。
ひとつずつ、消えて、
笑顔が消えて、声も消えて。
思い出せなくなる。
段々と、燦々と、差し込む。
揺らめく銀の糸が絡まる。
陽光と、月光と、差し込む。
陽も月も同じ輝きだろうから。
どっちが優位なんて、争い、
醜いよ、それを反射して光線。
攻撃し合って、勝敗がついたら、
同時に消えて、君も消えて。
サランヘ。歩いていてよ。
一歩が小さくても、
二歩目が着地できるように。
もう溺れないよ。
閑散と、深々と、差し込む。
フラつく金の糸が解ける。
閃光と、水光と、差し込む。
陽も月も同じ輝きだろうから。
あの花だった君は、
鏡に映る、手に取れなかった。
あの月だった君は、
水に映る、手に取れなかった。
手を伸ばしても、手で救っても、
叶わなかった。存在しなかったのか。
逆さに写っていたんだ。
裏とはまた違う、逆を持っていた。
波紋が広がる、一人歩きしている。
グリッタリング、輪に輪を重ねて。
宝石を並べて、端から捨てていく。
錆びてしまうだろうから。
サランヘ。忘れないで。
大事な言葉を、心から伝えたこと。
その場しのぎじゃない言葉だった。
僕は忘れてしまったけど。
サランヘ。僕らへ。
眩しく、そらした目線の先に、
大事な人が居たこと。
同じ人が居たこと。