なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

灯台の少年

 

 

 

「今日は、波が騒がしいな。」

僕は、ここの番人だ。

今日も、遠くの島を眺めている。

白紙の備忘録に、筆を執る。

 

白い霧が、靄になり、雲になる。

「今日は荒れそうだ。」

目をつけた渦が、空にもでき始めた。

灯りが余韻を残し、回り続ける。

 

僕は回っている。

僕は回っている。

同じ場所ばっかり。

同じ場所ばっかり。

 

いつまでも、

君を探している。

 

「今日は、波が静かだな。」

僕は、ここの晩人だ。

今日も、遠くの国を眺めている。

塗り潰された紙を、千切り捨てる。

 

霞んだ身体で、岬に座る。

投げ出した足で、高さを図る。

悔やんでも、返してはくれなかった。

出ない声で叫んでも、息が詰まった。

 

僕は回っている。

僕は回っている。

同じ場所ばっかり。

同じ場所ばっかり。

 

本当は、

見つけてほしかった。

 

「最近、気が滅入る。」

「今日は1人、昨日は2人。」

陸から、海へと、

海から、空へと昇っていく。

日とは逆に、月と一緒に。

 

僕はここから見ている。

もう見つけられない世界で。

もう見つけてもらえない世界で。

 

灯し続ける。

回り続ける。

灯し続ける。

回り続ける。

 

消えないように。

消えないように。

 

僕は、ここの番人だ。