なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

隙間

 

 

 

「愛してるよ」君は終始無言だったね

その言葉は 宙に浮いて 湯船に浸かった

戸締りしたのに 誘拐された愛した人は

連絡は着かなく 夜だけが明けなかった

 

日課になった 仕事終わり 金曜寝る前の

恋愛ラブコメディーは 終わりを告げ

1人突っ立っている 冴えない主人公が

黒い画面にぽつり映し出されて 消えない

 

朝は昇った 昼が下がった 夜に落ちた

自棄に空いた ソファと寝具に

手持ち無沙汰な手が 泳いで 空を切った

カーテンの隙間 知らない君の姿が見えた

 

君と好きになって 何年経ったか

心労ないし辛労だなんて浅ましく

邪魔が入ったんだ 僕と君との隙に 

「間」には何があったのか調べたが

「愛だ」には何もなかったんだ

 

「わかった、話すから」僕は黙ったよ

1言1言刻む音階は 不協和音に聞こえた

3行目には記憶は無くなり 視界が消えて

何故だか 君はボロボロと 泣き崩れていた

 

物騒な世の中だ 知らない人と住んでいる

誰に向けた笑顔を こちらに向けて頂く方は

最愛だった人だと 頭の隣人が教えてくれた

信じ難いが色違いの食器が証拠品と提出された

 

君は泣いた 彼に笑った 僕は感情を捨てた

彼から"君"について教えてと 連絡が来た

三角にもなれない形に 名前を付けようか

クローゼットの隙間 知らない君の服が揺れた

 

君を好きになって 何年経ったか

心抱ないし辛抱だなんて跪く

邪魔が入ったんだ 僕と君との隙に 

意図し、僕は催促したんだ

愛しい、君には誰かが居たんだ

 

好きが汚れて ズキズキになり

好きが転んで 過ぎていっただけ

会いたがりを愛たがうとして 気付いた

傷を咎め 本音を時間を経由して伝わった

朝日に魔が差した 間もなく始発が動く

 

君を忘れられなくなって 何年経ったか

心労ないし辛労だなんて浅ましく

邪魔が入ったんだ 僕と君との隙に 

「間」には何があったのか調べたが

「愛だ」には何もなかったんだ

 

何も無かったんだ