なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

春の詩織り

 

 

 

春の桜 挟んだ本から抜けた栞

もう読むことはない 進まないSTORY

時間が止まったまま あの日のまま

裏表紙に隠された 「さようなら」

ひらひらと 飛び立った飛行機雲

 

目次に書かれた 第一章の 「はる」 だけ

薄い太字になって 浮かび上がる

あとがきに書かれた おしまいへ

 

春の桜 挟んだ本から抜けた栞

もう読むことはない 進まないSTORY

時間が止まったまま あの日のまま

裏表紙に隠された 「さようなら」

ひらひらと 飛び立った飛行機雲

 

君の目から 綺麗な花弁が流れ出し

染めたピンクに 垂れた髪の毛が

変わったことを 知らせてくれたよ

 

記憶の片隅に 焼き残っている

不完全で 原型をとどめていない

僕の紡いだ言葉は 消えていった

この詩が 居ない君に届きますように

 

春の桜 僕の書いた本から抜けた栞

もう読むことはない 進まないSTORY

時間が止まったまま あの日のまま

裏表紙に隠された 「ありがとう」

パラパラと ページをめくり

キラキラと 飛び立った飛行機雲

 

今日も 僕は 詩を織り 重ねる

今年も 綺麗な桜が咲いたよ

あの日に 別れたときのような

あの時に 感じたことを 胸に抱いて

見ていますか 満開で 咲き乱れた 春の桜