なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

試し書き

 

 

 

下に残るなんて 聞いてないよ

はっきり浮かび上がった 呪文は消えない

ただ 残っているかを 確認したかった

インクが出ない ペンを振りに振った

 

掠れたそれに用はない

温めると 期限が 長持ちするんだね

始めは良かったのに

綴ることを 大切にしたかった

 

あなたを立てるのは 私の役目で

少しこちらに傾いた あなたの先を

指先で 押していた しっかりと 返してと

 

書いて 書いて 書かれた文は 取るに足りない

綺麗な字は 何処となく 汚く見えてしまった

写せない物を 写したかっただけなのに

書き消した 思い出だけを 抱きしめていた

人の為にしたことは全部 偽善で

いつまでも 子供でいたいとボールペンで殴った_

 

舌に残るなんて 聞いてないよ

はっきり脳裏に焼きついた 味は消えない

ただ 残っているかを 確認したかった

ウィンクが できない君を 不利に振った

 

カスれたそれに用はない

優しくすると 機嫌が よくなるんだね

初めは良かったのに

続くことを 願っていたんだ

 

あなたを立てるのは 私の役目で

少しこちらに傾いた あなたの頭を

手の平で 撫でていた ゆっくりと 愛してと

 

書いて 欠いて 飼われた文は 撮るに足りない

綺麗な絵は 何処となく 汚く見えてしまった

映せない者を 映したかっただけなのに

掻き消した 思い出だけを 抱きしめていた

人の為にしたことは全部 欺瞞で

いつまでも 子供でいたいとボールペンで殴った_

 

別の色が欲しくなった 心の大きさが違うんだ

気持ちが浮ついた 紙が揺れて 黒が溢れた

訳もない意味もない 言葉にならない 落書きは

君に見つからないように 書き損じた

 

掻いて 掻いて 変われた分は 盗るに足りない

綺麗な手は 何処となく 汚く見えてしまった

移せないものを 移したかっただけなのに

描き消した 白になった紙を 抱きしめていた

君の為にしたことは 全部 偽装で

いつまでも 餓鬼で痛いと ボールペンで殴った_

 

ああ 残っていたんだ 使い切れない

文具店の紙に 好きな人と傘を書いた

買いもしないそのペンで 書き残した

暇潰しにした その光景は 一生試される人生だ