なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

虫の知らせ

 

 

 

四季を 越えた夜を 繰り返して

週末を待てない 日々を過ごしている

代わってあげたい ニュースが流れている

珈琲を口に含み 玄関から飛び出した

 

行ってみたいな 嗚呼 行きたい

空いてるよ 私は いつでも 空いている

予定を立てて さあ 行こう 駆け出して

 

遅延証片手に 喧騒感に 遮られた

この街並みに 飽き飽き 過ごしている

「幸せについて」 そんな音楽が 流れている

嗚呼 だから 嗚呼 嗚呼

 

言ってみたいな 嗚呼 言いたい

泣いてるよ 私は いつでも 泣いている

計画を立てて さあ 言おう 曝け出して

 

久しぶり 元気にしてた?

ううん、何となく。話し掛けてみた。

今 何してるの? そうなんだ。

また、会おうね。またね、ありがとう。

 

いってみたいな 嗚呼 いきたい

悔いてるよ 私は いつでも 悔いている

希望を立てて さあ いこう 虫を飛ばして

 

今 貴方に 虫の知らせを送りました

 

 

 

朝の拠る

 

 

 

隣で寝息を立てた 僕のかつての恋人が

幸せそうな顔して 夢を見ている

醒めないでと願って 目を蓋しても

残酷な朝日が 突き刺して冷める

 

会ってるのに 「会いたい」 なんて 言ったとき

君は いつだって 未来を見ているものだと

泣いている君の目は 嘘をついていなかった

 

ふたりして 空を見上げた時に

綺麗な月が 踊っていた夜に

優しい時間と 暖かい右手の記憶が

忘れることが できるはずがない

ずっとこのまま 暗闇の中で溶けていたかった

 

会ってるのに 「会いたい」 なんて 言ったとき

君は いつだって 未来を見ているものだと

泣いている君の目は 嘘をついていなかった

 

君は変わってしまった あの頃はもうない

いいや、僕が変わっただけ 君は変わらない

この気持ちも 何時まで経っても 変わらない

 

 

 

君と常備薬

 

 

 

遣われて 飼われて 捨てられる運命

やって やられて 雇われる後目

薬箱を 押し入れに 直したまま

ホコリが 溜まって 白になっていく

 

僕の説明書 癒すために存在する人

必要な時に 必要なだけ 必要になる

正直に話すと嫌われるから

「好きだよ」 忘れてね 僕の言の葉

 

泣かれて 悪役になって 罰せられる要

腐って 臭って 捨てられる惨め

全て理解できる者だけに

与えられた使命 存在 価値観 深層心理

 

僕の説明書 励ますために存在する人

必要な時に 必要なだけ 必要になる

真面目に話すと嫌われるから

「会いたい」 忘れてね 僕の言の葉

 

僕みたいな人が 僕も欲しい

使って 用いて 棄てるだけ

使い物にならなくなるまで 縋るだけ

誰しも 誰かの 消耗品

 

僕の説明書  見つけるために存在する物

必要な時に 必要なだけ 必要になる

いつかは必要ではなくなるから

「元気でね」 忘れてね 僕の言の葉

「さようなら」 忘れるね 君の言の葉

 

 

 

clincher

 

 

 

「頑張ってね」 なんて 酷い言葉を言われた

何気無い一言が 胸に突き刺さった

聞き流せばいいはずなのに

問い詰めた先に 何がある

 

頑張れと言われるまでに 頑張ってる

貴方には それが分かるだろうか

ごめんなさい こんな私で

普通になりたい 普通の人生を

 

理解している 自分が一番 嫌という程に

食べると戻して 泣いて喚いて

酒と煙草が増えて 私の人生減っていく

逃げ出したいと手に掛けて 着信アリ

 

周回遅れで 必死で 走ってる

貴方には 私がわかるだろうか

ごめんなさい こんな考えで

普通になりたい 普通の人生を

 

頑張らないと いけない 私は

皆よりも 劣っているのだから

貴方の隣に 居たいから

私が 貴方を 守るから

 

「一緒に 頑張ろうね 応援してるよ

ふたりでなら なんとかなりそうだよ

大丈夫 もう君は僕にとって 普通だよ」

 

頑張れと言われるまでに 頑張ってる

貴方には それが分かるだろうか

ごめんなさい こんな私で

普通になりたい 普通の人生を

あなたと一緒に 普通の人生を

 

 

 

M. 僕の身つくる月と太陽

 

作った欠片達は 無視できないで

僕の頭を占拠して 逃がしてはくれない

真実だけを知った子は 大きくなり

僕は 初めての愛の理由を 教わった

未来へ希望を 見い抱した君は

嘘つきだと 吐き捨てて 消えていった

瑞を浴びて起こした 朝日が

心を突き指して 痛く熱く滲んでいた

僕は貴方をいつも書いている

忘れないように 忘れてしまわぬように

僕だけが得た 太陽に感謝を継げて

鏡に映った月を前に 後ろ向きに歩いている

 M

N. 凪に慣れない

 

僕を 見失った人から

どうか幸せになって なんて

暴言を吐かれて 測られた

幸せの意味を 探す途中で

雨が降る 海の月を見た

欠けた願いを 神様は 余所見した

雲が抜け 雨が止んで 無風が続き

喧騒させた海の心が

落ち葉のように ひらひらと堕ちていく

僕はまだ 幸せの意味を 探す途中だ

 N

A. 昇り月、君降る夜

 

同じ月を 見ているだろうか

君は何してるかなんて 想像してみて

僕は ミルクティーを飲んだ

時間は ほのかに甘く流れて

温度は しばらく上がっていく

雲の流れを 指で追って

君の嘆きを 今、知った

術を探して 無力を知った

 A