なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

9月のち秋

 

 

 

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jacket photo. nagitaso

 

 

 

新しい花を 見つけた

それはそれは 綺麗な花だった

咲き方を 知らない その花は

一輪 可憐に立っていた

 

道路脇から見えた その花は

踏まれても 力強く 咲き誇っていた

ずっと見ていた 憧れの存在に

僕は 時々 見つめることにした

 

過ぎ行く 秋が来た

モノクロ から カラーへと

塗り絵に 色を落として

君のために 空けている

夜明け のち 秋の空

 

花の名を "君"と名付けた

僕は大切に 水をやることにした

彼(枯れ)方を 遥かに知った花は

一輪 花瓶に立っていた

 

上を向いた 花弁も

下を向いた 葉たちも

香りを放つ 君の背丈が

なんだか とても 愛おしい

 

過ぎ行く 飽きが来た

モノクロ から カラーへと

塗り絵に 色を施して

君のために 避けている

朝焼け のち 秋雨の空

 

栞の花とは 似つかない

雨風に耐えた "君"の未来を

近くで見るくらいしかできない

栞の花とは 似つかない

荒波に耐えた "君"の希望を

近くで見るくらいしかできない

 

あっという間に

 

過ぎ行く 秋が来た

モノクロ から カラーへと

塗り絵に 色を落として

君のために 空けている

夜明け のち 秋の空

 

紅葉色にうつる 頬と瀬に

空気が変わる この風景と

9月の暑さが残る 夏の終わりに

一輪の花が 揺れた気がした

 

秋が来る 待っていた 秋が来た

君の街まで 届くといいな

"あなた"に 秋る "君"に 会える