なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

Saturation -彩度-

 

 

 

「今日くらいは、語ってもいいよね。」

 

澄み切った青い空に浮かんでいた私は、

白い鳥じゃなくて、赤い風船だった。

飛ばずに流され、舞わずに吹かれていた。

いつ空気がなくなるかなんて知らずに、

季節を越えて、人との線も越えていった。

 

色んな人に、色んな場所や食べ物も、

全部を教えてもらったけど、辛かった。

気が休まらない、心も摩ってもらえない。

大事だったんだ、あの場所が。本当は。

あの頃に、もう一度、もう一回。なんて。

 

四季、そう。移ろう。

飽和状態になって、留めどない。

溢れないように、愛を止めた。

じきに、そう。秋は冬へと変化した。

ゆっくりと彩度を低くした。Saturation

 

君から教えて貰った音楽、さようなら。

断線して聞こえないイヤホンは捨てた。

この音には色が見える、ぼんやりと、

赤色のような、オレンジのような感じだ。

調べると、"色聴"と言うんだそうだ。

 

好きな音楽を止めて、画面を閉じた。

目についた錆ついたベンチに座る。

着信音が鳴った。画面が光った。

数秒無言で過ごし、君が話し始めた。

時間を掛けて、二人で話した。

 

四季、そう。移ろう。

飽和状態になって、留めどない。

溢れないように、元を止めた。

じきに、そう。冬は春へと変化した。

ゆっくりと彩度を低くした。Saturation

 

私の長所は、ポジティブなところだった。

ネガティブなんだ、どこまでも君の根が。

ビビッと来たら一直線。君を誘っていたね。

対照的に映っていた、あの時は光っていた。

 

恋に辺際は付きものか。もう二度と、

再現不可能なエネルギーで身体を満たす。

 

 またそんなこと考えているのね。

 キリが無いな、だから切ないね。

 阿吽の呼吸で傍にいるよ。隣で。

 "諦め"が口癖の君に、諦めてもらう。

 いつまでも、幸せを見つけようか。

 

今は懐かしいよ、あの頃が。

彩って、色踊って、他色に過ぎていた。

モノトーンもたまには、いいんだね。

相乗効果に、私を見つけた。

 

式、そう。もう、はじまる。

恋して愛すれば、0になる。

二人揃えば白になる。

君との幸を、唯々祈る。

 

「あの頃は、ごめんね。」

 

そして、誓おう。

幸せになると。