なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

枕言葉

 

 

 

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夜の後 床の間 私たちは枝を交はす

消え惑う 月に現を抜かし 鈴が鳴る

 

「まだ寝ないの」「早く寝ないと」

言うだけ言っても 終わらない話

目に悪いものを 耳に置いて

私とキミの間に 温もりができる

 

想像してよ きっと

夢が続いて欲しいんだよ

いつまでも きっと

愛が続いて欲しいんだよ

 

時間は玉響(たまゆら)に 過ぎていく

成果を残せずに 今日が終わっていく

せめて 君で満たされて 終いたい

不安な夜を 君の息で 包んでしまいたい

 

「そうだ、寝」

「そうだ、夜」

 

時交はさず 丑満時 百鬼夜行の列が乱る

逸れた漠が夢を結ぶ 暗に黄泉国に誘う

 

「こんな時間だよ」「どうするの」

今日 休んでしまおうと言うのはなし

眠気が過ぎて 体温が上がり

布団と身体の間に 温もりができる

 

空想してよ きっと

夢が続いて欲しいんだよ

どこまでも きっと

恋が叶って欲しいんだよ

 

日中は玉響(たまゆら)に 過ぎていく

結果を残せずに 今日が終わっていく

せめて 君で満たされて 終いたい

普遍な夜を 君の愛で 包んでしまいたい

 

「そうだ、寝」

「そうだ、夜」 

 

あかねさす 紫の声の色が

ぬばたまの 黒の空を明ける 

しろたへの 衣が肌を濡らし

ひさかたの 雨が止み上がる

ちはやぶる 神に洗われた

 

「まだ起きてる?」

 

あなたが 言い返す

こころが 聞き返す

わたしは 言い返す

 

愛の秒針は 止まらない

あいしてる 5文字の先の

続くものだけを 待っている

 

「愛しい、寝」

「可笑しい、夜」