なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

不言色

 

 

 

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今日が明日になる時間に家に帰り、

洗濯物は溜まり、ストレスも溜まる。

最近の楽しみは、ラジオから流れる占いで、

最下位の日には、決まって怒られるんだ。

手繰り寄せ、日々を生きています。

 

反抗期を抜けて、横暴な貴方を認めて、

一緒に酒を酌み交わした日が懐かしい。

この頃は、寂しいよ。ひとりで飲む酒は。

また飲もうね。お勧めの名酒を持って行くよ。

私から話があるからさ。また連絡する。

予定空けておいて、大事な話だから。

 

ふたりでカップ麺を食べた思い出も、

他のみんなには内緒と外食したことも。

たまの休みに、チャーハンというよりも、

ベトベトなソースの炒飯を作ってくれたことも。

大好きだったあの味、今度作り方教えてね。

愛が詰まった料理が、恋しくなっていた。

 

元気にしていますか。貴方に育てられ、

今の私がここに居ます。私が居なくなって、

どうですか。お母さんと仲良くしていますか。

喧嘩した次の日でも、仕事に行く前に、

「行ってきます。」は言ってあげて。

私から見たら、お互い様なんだから。

 

恐い印象が強い貴方は、今なら分かるよ。

悪役に徹していたことも、愛があるから、

鞭を打っていたことも、分かっているよ。

遅くなったけど、ありがとう叱ってくれて。

私はできるかな、嫌われたくないからな。

また、叱ってね。貴方みたいに立派になるよ。

 

家にいる午前は、ずっと寝て、居て、

家にいる午後は、パチンコに行って居なくて。

本当、駄目な所しか見えなかったけれど、

それでも、仕事を頑張っていたから。宝。

だから、遅くなった日も起きていたかったよ。

今になって身に沁みて理解できるのかな。

 

元気にしていますか。貴方に育てられ、

今の私がここに居ます。私が居なくなって、

どうですか。お母さんを愛していますか。

照れた顔を見せて、それは証拠だから。

私から見たら、お互い様なんだから。

 

家事も出来なければ、未来の舵も取れない。

お先真っ暗の世の中で、やっていけるのか、

将来は、出世は、この先の人生は。さあ。

守っていけるのだろうか、愛する人を、

養っていけるのだろうか、愛した人を。

心配と不安が私を押し潰して、潰される。

 

あの日を思い出す。夕方まで近所の公園で、

キャッチボールをしたことを。楽しかった。

私が取れないボールを投げて、走った貴方は、

やれやれと笑って私を見ていた、あの顔を。

普段は無口で、新聞を読んでいる貴方が、

私より遥かに手と背中が大きく見えた瞬間だ。

 

元気にしていますか。貴方に育てられ、

今の私がここに居ます。私が居なくなって、

どうですか。毎日が幸せですか。

あの頃みたいな笑顔を見せて、幸せ者。

私から見たら、お互い様なんだから。

 

言わないだけで、想ってるお母さんのこと。

居なくなったら困るのは貴方だよ。もう。

もうすぐだよね。記念日、何周年だっけ。

大人になって分かったよ。愛することを。

今になって、どうして好きになったかを。

ふたりみたいな夫婦になるのが夢です。

 

拝啓、元気にしていますか。

 

 

 

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