ふと後ろを見ると、影ができていた。
踏んで、踏んで、踏んで、
気付けば後ろに後退していた。
逆走したって、誰も教えてくれない。
ふと後ろを見ると、影ができていた。
触れたくて、屈んで、
冷たい地面を、指で触った。
湿った凹凸は、過去に似ていた。
ふと後ろを振り返ったら、
拭えない陰ができていた。
僕は、残念だ。影しか踏めない。
夜は、最高だ。影しかないから。
ヘッドライトとテールランプ。
自販機と街灯に集まるユスリカ。
24時間コンビニ。点滅する信号。
何より、この美しい月明かり。
影ができる条件は、光があるから。
僕が遮って、僕の影ができる。
夜光になりたかった。
夜行になって、歩いている。
日が落ち影が伸びる、背はもう伸びない。
この詩も響かない、もう君には響かない。