なぎたその音楽と戯言

音を楽しむ、言で戯れる

小夜に花束を贈る

 

追記

"小夜に花束を贈る" 作者の考察と解説 - なぎたその音楽と戯言

 

 

 

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小説のような恋は 愛を花で 具現化した

蕾のまま 枝折り枯れていった あの花のように

 

春の夜が 仄々と明けて カーテンが紅く光る

君は ランキュラスのような スカートを

春一番 風に舞いて 目の前に現れた

蜃気楼の中 アルストロメリアの香りがしたとき

僕は 君に 4本のカーネーションを贈った

 

夏の夜が 刻々と始まり 緑の絨毯が歌い出す 

僕は リシアンサスのように 愛を注ぎ 水を含ませ

次第に 2人は ひまわりになって 見つめ合ったね

夢見鳥は 空をランランと 自由に飛び回り

僕は 君に 赤と白のアネモネを 1本ずつ贈った

 

言葉の 1音1音が 束になって 愛担って

安堵な話に 身も心も包まれていく

花に似たそれは いつか枯れてしまうまで

咲いて 頼りにしてしまうのだろうか いつか

朝に花を見ても 色がないと知ってしまうのだろうか

 

秋の日の 暮れ紛れに 影法師がオジギしていた

金木犀の香りがする 君と歩く 地に咲く秋の桜

久々に会うと 違う匂い すれ違う目線 食い違う意見

1日の出来事を キクことを じっと待つよ ホトトギス

前に進む君に 見惚れる程の マリーゴールドを贈るよ

 

冬が黎明を告げ フキノトウ二度寝を繰り返す

赤のチューリップが 雪化粧で白に変わり

湖畔に並んだスイセンが 僕をじっと見ていた

花屋で 7本の赤い薔薇から 3本選んだ 僕の気持ちは

月も見失う 暗闇の中 机の上で 黒く濁っていた

 

音楽の 1曲1曲が 束になって 君担って

可憐な回想に 身も心も包まれていく

花に似たそれは いつか枯れてしまうまで

咲いて 頼りにしてしまうのだろうか いつか

昼に花を見ても 色がないと知ってしまうのだろうか

 

束の間の 喧嘩も

色 形 様々な 愛し方も

君色の フローラテープで

緩く 結んでいたように

 

記憶 1本1本が 束になって I(アイ)担って

未練な過去に 身も心も包まれていく

花に似たそれは いつか枯れてしまうまで

最低に 頼りにしてしまうのだろうか いつか

君が花を見ても 色がないと知ってしまうのだろうか

 

花散らしの雨で 桜が 花水木に変わって咲いた

カメラに映る 線路沿いの君は もう居ないけど

今日も何処かで 儚げに 笑っているのかな

ずっと続くと思っていた 日常は 終わってしまった

 

僕は静かに 本を閉じた。

 

楽しかった 忘れないよ

またね

ありがとう

さようなら

 

さようなら 

 

 

 

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